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ペットフードと人が食べる食品の違いとは?

私たち人間が食べる食品に記載される成分は、「100g当たり炭水化物30g、たんぱく質10g、脂質5g、エネルギー205kcal、食塩相当量0.2g」などのようになっていますが、ペットフードに記載される成分は、「粗たんぱく質25%以上、粗脂肪10%以上、粗繊維5%以下、粗灰分6%以下、水分10%以下」のように表示されます。ペットフードは、この五つの成分が表示されており、必要に応じてミネラルやビタミンなどその他の成分の表示も記載されます。食品は、その食品中に含まれている栄養成分の標準的な数値を載せていますが、栄養成分の含有量を保証しているものではありません。一方でペットフードが%表示なのは、栄養バランスを重視しているからで、犬や猫の栄養基準もペットフード中の栄養成分含有量を「%」あるいは「mg」で示します。

また食品と異なる1つとして「以上」、「以下」で表示しているのは、栄養成分を「保証」しているという意味です。栄養に必要なたんぱく質や脂肪は、健康維持に必要な最低含有量を保証し「以上」の表示がされ、一方で水分、繊維、灰分は保証値より多いとエネルギーが低下し、一定の栄養を摂取出来ない可能性があるため、最大含有量を保証し「以下」で表示されます。ペットフードと食品の大きな違いは、ペットフードは一定の栄養成分を提供することで、食品はある一定の食材(生鮮食品や加工食品など)を提供することにあります。これは、人は自身で食材を選択、調理又は加工し食べることができますが、ペットは飼い主から与えられたエサのみで栄養を摂らなければなりません。そのためペットフード中に一定の栄養を含んでいる必要があるため、保証値として表示しています。

ペットフードの成分に付いている「粗」は、これは大体の数値を示したものではなく、栄養成分の表示についての分析上の精度を表したものです。食品でもペットフードでもたんぱく質や脂肪等の分析方法はほとんど同じですが、食品の栄養成分の表示では「粗」はなく、ペットフードは栄養成分を保証するという点から分析上の保証精度を「粗」で示しています。また、ペットフードにおいては、これら五成分から水分を除く4成分は、純粋な成分(たんぱく質・脂肪・繊維・灰分)を測定しているのではなく、同時に他の成分も測定されています。一例としてたんぱく質ではアミノ酸やアミン類、脂肪では脂溶性ビタミンや他の成分、繊維では酸やアルカリに溶けないケラチン、灰分では純粋なミネラルの他にその酸化物、と言った純粋な成分とその他成分を「粗」という言葉で表しています。これらの表示は、日本だけではなく、世界的に共通の表現方法となっており、英語では「crude」(天然のまま、そのままの意)で示されています。また、「以上」、「以下」の表示も「max.」、「min.」で示されています。

参考文献

>>環境省 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)
>>ペットフード公式取引協議会
>>農林水産省ペットフード安全法 表示チェックシート